「坊ちゃまは誰にも渡さない——!」
泥に覆われた視界の中を大好きなメイドのイヴと駆け抜ける。
それは昏く冷たい怖い夢——。
少年レオポルドが目覚めると、見覚えはあるのに馴染みのない屋敷のベッドの上。
傍にはいつもの穏やかな笑みを浮かべるイヴが立っていた。
レオポルドは、喘息の療養のため叔母の勧めで屋敷を訪れたことや
多忙な両親が合流するまでの間、イヴと交わした約束を守り過ごすことを思い出す。
一つ。カーテンは決して開けてはならないこと。
一つ。来客は全てイヴに知らせて、出迎えてはならないこと。
一つ。外に出てはならないこと。
一つ。食べ物は、全てイヴが用意したものを食べること。
降りやまない雨と共に、不思議な出来事がレオポルドを侵食する——。
※後編は有料配信のみになります。